メテオライト特有の模様「ウィドマンシュテッテン構造」
メテオライト文字盤を見たとき、まず目を引くのが金属が交差するような幾何学的な線模様。これは「ウィドマンシュテッテン構造(Widmanstätten pattern)」と呼ばれるもので、鉄とニッケルを主成分とする隕鉄が、宇宙空間で何百万〜何億年という気の遠くなるような時間をかけて極めてゆっくり冷やされることで生じる結晶模様です。
どうやって「隕石のかけら」が時計の文字盤になるのか?
1. 原石の選別とスライス
1つの隕石の塊から、時計用に使える部分はごく一部。クラック(ひび割れ)や不純物を避けながら、模様の美しい部分を選び、紙より少し厚い程度のプレート状にスライスしていきます。
2. 研磨と酸エッチング
スライスした隕石を磨いたあと、強酸で表面を軽くエッチング(酸処理)することで、ウィドマンシュテッテン構造がくっきりと浮かび上がります。ここで研磨の方向やエッチングの加減を変えることで、マット寄り/シャープ寄りなど、模様の表情も微妙に変化します。
3. 防錆処理・コーティング
隕石の多くは鉄分を多く含むため、そのままだと錆びやすいという弱点があります。
隕石の質感を損なわないよう試行錯誤を重ね、透明感のある特殊コーティングを施すことで、錆を防ぎつつ風合いを保つ技術を開発したと説明しています。
★防錆コーティング(透明ラッカーや樹脂系)
★ロジウムメッキ
その上からのカラーコーティング(ブルー、ゴールドなど)
といった処理が組み合わされ、日常使いに耐える強度と耐食性が確保されています。その為、ビンテージ時計のメテオライト文字盤も色褪せる事無く現在に至ってます。
カラード・メテオライト:色付き隕石文字盤の仕組み
最近増えているのが、ブルーやゴールドなどに着色したメテオライト文字盤。
これは、隕石の表面に透明感のあるカラーコーティングやPVD処理を施すことで、地金のウィドマンシュテッテン構造を残しつつ、色だけを変化させたものです。
ルノータスはシルバー・ブルー・ゴールドの3色展開の「カラード・メテオライト」を紹介しており、「隕石の質感を保ちながらカラー表現を行っている」と説明しています。ハイエンドでは、ボヴェ(Bovet)がギベオン隕石にブルーPVDを施した文字盤を採用するなど、
宇宙素材×カラーリングで、よりアート性の高い表現へと進化しています。
どんな隕石が使われている?代表的な種類
ギベオン隕石(Gibeon)
産地:ナミビア
特徴:比較的安定しており、最高級と言われています。線の太さがはっきりしたウィドマンシュテッテン模様
多くのラグジュアリーブランドが採用(ロレックス、ボヴェ、チャペック、ルイ・モネなどの高級ブランド)
ムオニオナルスタ隕石(Muonionalusta)
産地:スウェーデン〜フィンランドの国境付近
特徴:細かく繊細な模様、やや磁性を持つ
日本のNOZや海外ブランドでも多く採用され、「最古級の隕石」として知られています。
1本ごとに模様が違う、「世界でひとつだけ」の魅力
同じギベオン、同じムオニオナルスタといっても、隕石のどの部分を切り出すかで模様はまったく異なります。
「隕石の断片ごとに模様が異なるため、文字盤はすべて一点物のキャラクターを持つ」
これがコレクターにとって大きな魅力になっています。また、隕石はそもそも採れる量が限られており、採取規制がある地域もあるため、長期的には供給が限定される希少素材という側面もあります。貴重なレアアースです。
結論メテオライト文字盤は実際に見るべき。
コントワーヌでも、実際に隕石をスライスして作られたメテオライト文字盤モデルをご用意しています。宇宙から届いた45億年の時間を、ぜひ店頭で手に取ってご覧ください。
(写真:CZAPEK ギベオン隕石使用)