
腕時計の複雑機構
腕時計の複雑機構とは
複雑機構(コンプリケーション)とは、ほとんどの時計に備わっている「時・分・秒」を表示する機構の他、追加機構を持つ機械式ムーブメントのことです。コンプリケーションの中でも複雑機構を複数搭載する機構のことをグランド・コンプリケーションと呼ばれます。
複雑機構のメカニズムを組み立てられる職人は世界でも非常に少なく、高い技術とそれを組み立てられる職人が必要となります。無数の部品で組み立てる複雑機構はその複雑さから「小宇宙」ともたとえられてきました。
複雑機構には、機械式時計の最高峰の技術である世界3大複雑機構(世界3大コンプリケーション)。そしてこの世界三大複雑機構を含む、世界7大複雑機構(世界7大コンプリケーション)も存在します。
特に世界3大複雑機構には、高い技術力と職人の腕を必要とするため、高級腕時計に多く採用されています。
3大複雑機構
【トゥールビヨン】
フランス語で「渦」を意味するトゥールビヨンは、時計の進歩を200年も早めたといわれる天才時計技師アブラアン-ルイ・ブレゲによって発明された、機械式時計の精度を高めるための機構です。複雑機構の中でも最も難しいとされています。
重力による時計の姿勢差が、テンプやヒゲゼンマイといった調速機構に影響を与え、わずかな誤差を生じさせます。トゥールビヨンは、これらのパーツを「キャリッジ」と呼ばれる回転する台座に搭載し、常に様々な角度に動かすことで、重力の影響を平均化し、精度の安定化を図ります
【パーペチュアルカレンダー】
パーペチュアルカレンダーもブレゲによって発明されたとされています。この機構は月の日数違い(2月、4月、6月、9月、11月の月末)や、閏年の2月29日を自動に認識し、カレンダーを正確に表示してくれます。基本的に手動でのカレンダーの調整が不要なため、「永久カレンダー」とも呼ばれます。
【ミニッツリピーター】
ミニッツリピーターとは17世紀のイギリスで発明された3大複雑機構の中でも歴史は長い機構です。そしてミニッツリピーターもブレゲによって小型化が成功しました。
その機能は音で時刻を知らせてくれる、非常にロマンチックで複雑な機械式時計の機構です。暗闇の中でも音で時刻を知ることができるという実用性とともに、その繊細な音色と複雑な機構は、古くから時計愛好家を魅了してきました。
7大複雑機構
【スプリットセコンド クロノグラフ】
スプリットセコンドクロノグラフとは、ヨーゼフ・タデウス・ヴィンネルが発明した機構です。スランス語でラトラパンテとも呼ばれています。通常のクロノグラフでは、1本の秒針で計測しますが、スプリットセコンドでは2本の針が同軸上に配置されています。その2つの針でふたつの計測時間を表示することができます。
【ムーンフェイズ】
ムーンフェイズとは、文字盤上で月の満ち欠けを表示する機構のことです。これは、時計内部の歯車が月の朔望周期(約29.5日)に合わせてゆっくりと回転することで実現しています。一般的には、59個の歯を持つ歯車で制御されており、2回転で約29.5日となるように設計されています。
【レトログラード】
レトログラードとは、フランス語で逆行するという意味で時計の用語として用いられています。その機構は日付や曜日など繰り返し表示に使用され、終点に到達すると瞬時に始点に戻るユニークな機構です。
【パワーリザーブ インジケーター】
パワーリザーブインジケーターとは、機械式時計のゼンマイの巻き上げた残量を視覚的に表示する機能です。まるで車の燃料計のように、文字盤上に針や目盛りなどで、時計がどれくらいの時間動き続けられるかの目安を示してくれます。インジケーターを確認しながらゼンマイを巻けば、時計を止めることなく動かすことができ便利です。
コントワーヌでも複雑機構が見られる!?
3大複雑機構では高級時計に搭載されることが多く、時計好きの間では憧れの機構ではないでしょうか。時計宝飾ブティックコントワーヌでも7大複雑機構の【ムーンフェイズ】を搭載したRAYMOND WEILや【パワーリザーブ インジケーター】を搭載したCZAPEKなど展示販売しております。正規代理店として保証もつきますので安心してお買い求めいただけます。